知らないと損する交渉を有利に進める心理テクニック3選

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あなたは、もっと交渉をスムーズにできたら良いのに…。そう思ったことはありませんか。実は、私たちの経営者のクライアントからも定期的に相談や講座を依頼されます。

そこで今回は、この文章を読むと明日からの交渉がより有利に進めることができるちょっとしたコツをご紹介します。この記事を最後まで読むと、より有意義な交渉ができるようになりますのでぜひ読んでみてください。

目次

交渉の前に知っておきたい3つの基礎知識

さて、交渉と心理学は密接に結びついていることは、おそらくあなたもご存じかと思います。

ここでは、交渉をスムーズに進めるための方法について、ご紹介します。相手の思考や感情、動機に着目した効果的な戦略の立て方にを意識することで、ビジネスシーンにおける交渉術はかなり深いものに。心理学が交渉にどのような影響を及ぼすのか、いくつかの要素をお伝えいたしますね。

認知の歪みを活用した確証バイアス

Q:確証バイアスとは?

これは、人々が自分の既存の信念を確認する情報を探し、それに重きを置く傾向を指します。交渉においては、このバイアスが間違った戦略を取ることを引き起こす可能性があります。したがって、自分の確認バイアスを認識し、それを克服することは重要です。

バイアスについては、様々なパターンが存在しています。この中でも特にビジネスシーンで活用できる大切な3つの確証バイアスについてご案内をします。もしかすると、この文章を読んでいるあなたも確証バイアスの罠にはまっているかもしれません。

  1. 錨付け効果(Anchoring)

    これは、人々が最初に提示された情報(錨)に過度に依存する傾向を指します。交渉においては、最初に提示される価格や条件がその後の議論の「基準点」を設定することがよくあります。
  2. 喪失回避(Loss Aversion)

    人々は失うことに対して得ることよりも感情的に反応します。つまり、損失を避けるためにリスクを取る傾向があります。交渉においては、この原則を理解して利用することで、有利な位置を保つことができます。
  3. 帰属バイアス(Attribution Bias)

    これは、他人の行動をその性格や能力に帰属させ、状況の影響を過小評価する傾向を指します。交渉において、このバイアスを認識することは、相手の行動を理解し、適切に対応するために重要です。

これらの心理学の原理を理解し、それらを交渉のコンテクストに適用することで、より成功を収めることが可能なのです。

交渉は、単なる取引の枠を超えて、相手の感情や動機、そして認知的なバイアスを把握することが非常に重要だということがお分かりいただけましたでしょうか。

この様に、確証バイアスとは、私たちが既存の信念を裏付ける情報を積極的に探し、それに重点を置く傾向を指します。このバイアスは、自身の主張が正しいと確信し、反証を見落とすという、人間の本質的な傾向です。

その為、ビジネスシーンにおける交渉においては、この確証バイアスを理解し、自己と他者の中に存在する可能性を認識することが、成功に向けた鍵となります。

しかし、実際にはどのようなビジネスシーンで活用できるのでしょうか。交渉術の例を参考にそれぞれの確証バイアスを活用した方法をお伝えしていきましょう。

確証バイアスを活用できるビジネス交渉術

例えば、あなたが不動産エージェントで、家を売る交渉を行っていると仮定します。
そんな時の具体的な事例を下記の3つをポイントにしてお伝えします。

ポイント①
交渉相手の信念を理解する

まず、購入者の既存の信念や期待を理解します。例えば、彼らがエコフレンドリーな家に特に価値を置いているとします。それを理解した上で、あなたはその視点に合わせた情報を提供することができます。

ポイント②
適切な情報を提供する
次に、購入者が価値を見いだす情報を提供します。その家はエネルギー効率が高い窓や太陽光発電システムを持っているなど、エコフレンドリーな特徴を強調します。これは購入者の確認バイアスに対するアピールで、彼らが既に持っている信念を強化します。

ポイント③
購入者の意見を尊重する
同時に、購入者が他の家の方がエコフレンドリーであると信じているなら、それを否定しないでください。彼らの見解を尊重し、彼らがその信念に基づいて情報を解釈することを認めます。

ポイント④
良い結果を促す
最後に、確認バイアスを活用して交渉の結果を有利に導きます。購入者がエコフレンドリーな家を探しているという信念を持っていることを強調することで、その家が彼らのニーズに完全に適合するという結論に導くことができます。

いかがでしたでしょうか。この4つのポイントをビジネスの交渉でうまく活用をすることができれば、あなたの意図を相手にスムーズに届き、円滑に物事を進めることができます。もう少し詳しく、具体的な会話の例をお伝えしていきます。

確証バイアスを活用した具体的な交渉事例

エージェント(あなた): こんにちは、お会いできてうれしいです。お求めの住宅について特に重視されるポイントは何でしょうか?

購入者: こんにちは、ありがとうございます。私たちはエコフレンドリーな家を探しています。省エネルギー設計で、太陽光発電などの環境に配慮した設備が整っていると嬉しいですね。

エージェント: その視点は素晴らしいですね。実はこちらの物件はエコフレンドリーな設計に非常に力を入れています。窓は全て高性能な二重窓で、エネルギー効率が高いですし、屋根には太陽光発電パネルも装備されています。

購入者: それは良いですね。ただ、私たちは他の物件も見ていて、ある物件はさらにエネルギー効率の良い設備が整っているように思いました。

エージェント: それは重要な観点ですね。他の物件も優れていると思います。ただ、こちらの物件の特長は、エコフレンドリーな設備だけではなく、それが周囲の自然環境と調和しているところにあります。太陽光パネルは高性能で、周囲の風景を損なうことなく配置されています。

購入者: なるほど、それは魅力的ですね。

エージェント: 確かに、これらの特長はあなたがお求めのエコフレンドリーな家に完全に合致していると思います。実際に物件を見てみて、その違いを実感してみてはいかがでしょうか?

さて、この会話のポイントをまとめてみました。あなたは、どこにバイアスが利用されていたのか、気づくことができましたか?

この例では、エージェントが購入者の既存の信念(エコフレンドリーな家への願望)を認識し、それに合わせて情報を提供しています。このように確認バイアスを活用することで、購入者が自分の信念に基づいた決定を下すのを助けています。

錨付け効果h3の活用事例

錨付け効果とは?
人々が最初に提示された情報(「錨」)に過度に依存する心理学的な傾向を指します。交渉において、この効果は非常に有力な手段となります。交渉者は初期の提案(錨)を通じて、交渉の範囲や期待値を設定することができます。

具体的な活用事例をご紹介します

価格設定
初期の提案は、その後の交渉の方向性を大きく左右します。高価な商品やサービスを売る場合、高い初期価格を設定することで、購入者の期待値を高め、結果的に高い価格での販売につながる可能性があります。

<価格設定のケース>
車の販売: あなたが車の営業マンで、新車を$30,000で販売したいとします。交渉の初期段階で、あなたは$32,000という価格を提示します。これが錨となり、顧客の価格感を形成します。その後の交渉では、顧客は$30,000の価格を割引として受け取りやすくなる可能性があります。

期待値の設定
初期の提案は、交渉相手の期待値を形成します。自分が求める結果に近い初期の提案をすることで、その後の交渉を有利に進めることができます。

<給与交渉のケース>
あなたが新しい仕事の給与を交渉する際、高めの初期提案を行うことで、雇用者の期待値を高めることができます。たとえば、あなたが$80,000を希望している場合、$85,000を初期提案として提示します。これが錨となり、その後の交渉をより高い水準で進めることが可能になります。

さて、具体的にはどの様なシーンで利用することができるのでしょうか。価格の設定や、期待値を上手に設定をすることができれば、営業でも苦労しないはず。早速、会話をもとに見ていきましょう。

会話の例を見ながら、錨付け効果を学んでみよう

あなた: こんにちは、今日はお時間を割いていただきありがとうございます。私たちが話し合うべき主要なテーマの1つは、私の給与についてです。

雇用者: はい、その通りです。あなたがどのくらいの給与を期待しているか教えていただけますか?
あなた: 市場調査と私のスキルセット、経験に基づいて、年間$85,000を適正な範囲と考えています。

雇用者: $85,000は少し高いように思います。あなたがその給与を正当化する理由は何ですか?
あなた: 理解します。その金額を設定した理由は、私が持つ特定のスキルと、これまでの経験、そして以前の仕事で達成した実績に基づいています。私は過去に数々のプロジェクトを成功させ、大きな利益をもたらしてきました。また、私のスキルセットは、現在の市場において非常に需要が高いものです。

雇用者: それは理解しました。しかしながら、我々が考えていた範囲は$80,000でした。
あなた: そうですか、その提案は有り難いです。$85,000という数値は交渉の出発点として提示したもので、お互いに満足のいく結果を見つけるための開始点と考えています。

さて、この会話のポイントに気づくことができましたでしょうか。

この例では、あなたが錨($85,000)を設定し、雇用者がその価値を認めるように説明しています。その結果、雇用者はあなたが実際に求めている金額($80,000)を提案することになります。

誰もが損をしたくない!この心理を交渉で効果的に活用するには?

喪失回避(Loss Aversion)とは、人々が損失を避けようとする心理的傾向で、同じ大きさの利益よりも損失の方がより強く感じられるという行動経済学の原理です。交渉において、この効果は相手が提案を受け入れる確率を高めるための戦略として利用することができます。

さて、具体的に交渉シーンでどのような活用方法があるのでしょうか。少しだけ詳細させてください。

損失の強調
交渉の相手に提案を受け入れない場合の潜在的な損失を強調します。これは相手があなたの提案をより真剣に考え、それに対する価値を再評価する可能性があります。

<不動産の販売の例>
不動産エージェントは、物件の魅力的な特性を強調するとともに、市場の競争状況や物件への他の関心を示すことで、喪失回避の心理を活用します。例えば、「この家にはすでに数人の見込み客がいて、今すぐ行動しないとこの絶好のチャンスを逃すかもしれません」といった言い回しを使うかもしれません。

「今すぐ」の強調
限られた時間や供給、特別なオファーなど「今すぐ行動する」インセンティブを提供します。これは喪失回避の感情を刺激し、交渉相手が提案を受け入れる確率を高めます。

<サービスの販売>
サービス提供者(例えば、保険会社やインターネットプロバイダー)は、顧客がサービスにサインアップしない場合のリスク(例えば、潜在的な医療費用やインターネット接続の欠如)を強調します。これにより、顧客はサービスを購入することでこれらの損失を回避できると感じる可能性があります。

喪失回避の利用した交渉時の心理状況を実例を交えた時のフロー

喪失回避は、交渉の成功を促す強力な心理学的ツールです。以下に、これを具体的なステップとして示します。この例では、あなたが保険会社の営業マンで、顧客に保険契約を勧めていると仮定します。

STEP
商品の説明

あなたは顧客に提供する保険の利点を詳しく説明します。保障範囲、補償内容、契約特典などを具体的に示し、顧客が保険に対する理解と価値認識を深めます。

STEP
リスクの強調

次に、あなたは保険契約を結ばない場合の潜在的なリスクを強調します。たとえば、大病のリスク、急な入院や手術による出費、莫大な医療費用などを具体的に示すことで、顧客の喪失回避の感情を刺激します。

STEP
緊急性の強調

さらに、特別なキャンペーンや期間限定の割引などを提供することで、「今すぐ行動する」インセンティブを作り出します。これにより、顧客は契約を急ぐ動機を感じる可能性があります。

STEP
交渉の調整

顧客からの反応をもとに、あなたは交渉と調整を行います。顧客が保険契約について懸念を表明すれば、それに対応して商品の利点を再強調したり、追加の情報を提供したりします。

STEP
契約の締結

最終的に、あなたの提案に対する顧客の喪失回避の感情が高まれば、顧客は保険契約を結ぶことを選ぶ可能性が高くなります。

損失回避を利用した実際の会話例を確認してみよう

喪失回避を活用した保険契約の交渉を会話形式で示します。

あなた(保険営業マン): こんにちは、今日はお時間をいただきありがとうございます。我々の保険商品についてお話しすることができて嬉しいです。

顧客: はい、こんにちは。何から始めればいいのでしょう?
あなた: まず、我々の保険がどのようにあなたの生活を保護するかについて説明します。これには大病の保障、手術や入院にかかる費用の補償、さらには定期的な健康診断が含まれます。

顧客: それは興味深いですが、私はまだ健康なので、そんなに深刻な問題に直面する可能性は低いと思います。
あなた: 確かに、現在は健康であるということは素晴らしいことです。しかし、残念ながら人生には予期せぬ出来事が起こることもあります。例えば、大病になった場合や急な手術が必要になった場合、医療費は膨大になり得ます。我々の保険は、そのような事態に備えてあなたを守ることができます。

顧客: それは確かに考慮に入れるべきですね。
あなた: その通りです。さらに、今なら初めてのお客様に対して特別なキャンペーンを実施しています。今月中に契約いただくと、初年度の保険料が10%オフになります。ただし、この特別オファーは期間限定ですので、早めにご検討いただけると幸いです。
顧客: それは良いオファーですね。詳細について考えてみたいと思います。

この例では、あなたが保険の利点を説明し、潜在的なリスクを強調し、顧客がすぐに契約する動機を提供しています。これにより、顧客の喪失回避の感情が刺激され、あなたの提案を受け入れる可能性が高まります。

帰属バイアスを活用して賢く交渉しよう

帰属バイアス(Attribution Bias)とは、他人の行動について考えるときに一貫した誤りを犯す傾向のことを指します。
特に、他人の行動の原因をその人の性格や能力に帰属させる傾向(内部帰属)と、その人の状況や環境に帰属させる傾向(外部帰属)という二つの側面があります。具体的には、他人の成功をその人の努力や能力によるものと考え、失敗をその人の怠慢や無能さによるものと考える傾向があります。

帰属バイアスの具体的な事例を紹介

成功の内部帰属
あなたが成功を達成したとき、それをあなた自身のスキル、能力、努力によるものと強調することで、あなたの信頼性と価値を強化することができます。

<給与交渉>
給与交渉: あなたが給与の引き上げを求めるとき、過去の成功をあなた自身のスキルや努力によるものとして強調することで、あなたが給与引き上げに値する価値を持っていることを示すことができます。

失敗の外部帰属
一方、あなたが失敗したとき、それを外的な要因や不可抗力に帰属させることで、あなた自身やあなたの代表する組織の価値を維持することができます。

<ビジネス取引>
あなたの会社が新しい契約を求めるとき、過去の成功を会社の能力や品質によるものと強調し、失敗は市場の変動や不可抗力によるものと説明することで、会社の信頼性と価値を強化することができます。

帰属バイアスを利用した、上手な交渉事例(要確認)

STEP
相手の事前調査

これは相手のスキル、成果、および対象期間中の重要な成果について詳細に説明するものです。これは交渉前の準備の一部であり、内部帰属を強調するためのベースとなります。

STEP
成果の内部帰属

交渉が始まったら、あなたは自分の成果をあなた自身のスキル、能力、および努力の結果であると強調します。例えば、あなたがプロジェクトを成功させた場合、その成功はあなた自身のリーダーシップ、チームワーク、問題解決スキルによるものであると説明します。

STEP
問題や困難の外部帰属
STEP
給与引き上げの要求
STEP
交渉と調整

帰属意識を活用した実際の会話例

あなた: こんにちは、私たちが今日集まった目的は私のパフォーマンスレビューと給与について話すことですね。
上司: はい、そうです。あなたのパフォーマンスについてどのように考えていますか?
あなた: 過去一年間、私はいくつかの重要なプロジェクトを成功させました。その中でも特に、XYZプロジェクトでは私のリーダーシップと問題解決スキルが試されました。

上司: XYZプロジェクトは確かに大きな成果でした。しかし、あなたがABCプロジェクトの目標を達成できなかったことも事実です。
あなた: その通りです。ABCプロジェクトについては、残念ながら達成目標を達成できませんでした。しかし、その原因は主に市場の急激な変動とリソースの不足によるもので、これらは予見できない外部要因でした。

上司: それは理解できます。では、あなたの給与についてどのように考えていますか?
あなた: 過去一年間の成果を考えると、私は給与の引き上げを希望しています。私のスキルと努力が会社にもたらした価値を反映するように、適切な調整をお願いしたいと思います。

上司: あなたの要求は理解できます。私たちはあなたの提案を検討し、可能な限りフェアな解決策を見つけるつもりです。
この例では、あなたが成功と失敗の両方の原因を適切に帰属させていることがわかります。このように、帰属バイアスの原理を適切に活用することで、交渉に有利な位置を保つことができます。

この例では、あなたが成功と失敗の両方の原因を適切に帰属させていることがわかります。このように、帰属バイアスの原理を適切に活用することで、交渉に有利な位置を保つことができます。

交渉を有利に進めるためには、確証バイアスを忘れずに

いかがでしたでしょうか。錨付け効果:、喪失回避、帰属バイアスこれらの心理的要素を意識することで、日常生活のさまざまな場面でより効果的に意思決定を行い、コミュニケーションを円滑に進めることができます。

弊社では、他にも様々な心理の方法を有効活用してビジネスに役立てる方法をお伝えしています。また、個人的に会社の状況やメンターが欲しい!と思われる方もお気軽に下記のフォームよりご連絡をください。心理を上手に活用して、人生を豊にして行きませんか。

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