経営戦略における資源配分を決めよう

経営戦略

経営戦略において、限りある資源をより効果的に利用するためにはどうしたら良いのでしょうか。そのために必要な考え方が2つあります。事業のライフサイクルと、事業ポートフォリオがあります。この2つをしっかりと理解を深めることにより、無駄なく、適切な資源配分をすることができます。早速事業ポートフォリオと事業のライフサイクルについてみていきましょう。

目次

事業のライフサイクルとは?

事業ライフサイクルとは、人間が生まれてから死を迎えるのと同様に、事業もいづれは衰退をしていくということです。この事業のライフサイクルは、①導入期②成長期③成熟期④衰退期の4つの時期があります。この4つの段階で消費者の行動や心理的状況が異なるので、どの時期に、どんな人が購入しやすいのかを含めて考えることが大切です。

・導入期
先行投資になります。この時期は認知度拡大や準備も多いので赤字になり支出が多くなります。個人でSNSを利用したサービスなどは、Instagramの投稿やYouTubeの撮影など日々時間と労力をかけることに値します。

この時期に求められることは、より多くの人たちに自社商品を認知してもらうことです。中には、今流行りのものに対して、便乗する方法もあります。例えば、タピオカ店などは、導入期よりも成長期に参入する企業が多かったです。

・成長期
成長期に入ると、売り上げも伸びていき安定したキャッシュフローを構築することができるようになります。しかし、この時期になるの他社の参入も多くなってくるので競合に負けないブランド作りやサービス、商品の質などを向上させる必要があります。また、事業を拡大するのか否かも市場分析をしながら検討をしていく時期になります。

成長期が続き、市場価値が高まった際には事業の売却を考えるのもひとつの方法です。新規で事業を立てるよりも事業を維持する方が難しいと考えています。そのため、急成長をし毎年収益が増加をしている場合は、売却をするのもひとつの方法です。


・成熟期
売り上げも急速に増加をすることは少なくなります。しかし、投資する額も減少するため利益は上昇をします。競合も成長期とは比較をして更に増えてくるので、市場の中でいかに消費者にとって価値を提供することができるのか?を更に考えていく必要性があります。そうしないと、価格競争に巻き込まれたり、自社よりも資金力の大きな会社が参入した際に競争に負けてしまうリスクも十分に考えられてしまいます。

・衰退期
売り上げも停滞をし、利益も徐々に減少をする可能性があります。衰退を避けるために、画期的な革新を行うのか新たな価値を提供するのか、それとも撤退をするのか?を考えていく必要があります。特に、この衰退期の判断が遅れるほど事業に大きなマイナスを与えることもあるので、できるだけ素早い判断をすることが求められます。

衰退期に入った段階で、既存の事業の良さをそのまま別の事業、形態として形を変えることもひとつの方法です。例えば、弊社クライアントである家事代行業者や旅館を例にしてお伝えをします。
・家事代行業者の場合→補助金を利用して、家事代行のマッチングサイトを構築
・旅館の場合→在宅ワークの発展に伴い旅館を一部リニューアルして長期滞在者用に変更。一部をマンションとして販売するなど。

既存の事業とのシナジー効果を考えて事業を運営を再度考えるのもひとつの方法です。可能であれば、衰退期に慌てて手を打つのではなく、成熟期の段階で既に検討をすることがベストだと個人的には思っています。

知っておきたいプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

略して、PPMと言われています。これは、フレームワークのひとつです。展開している事業の特徴や状況を的確に把握をすることができます。

問題児の場合
導入期から成長期の場合はこの「問題児」に該当をします。市場の成長率は高いですが、認知度が低いためシェアは低くなります。シェアを獲得するために積極的な投資が必要になります。そのため、利益を出すことは難しいです。この状況が続けば、負け犬となり撤退を検討する必要が出てきます。


花形事業
導入期から成長期に該当をします。市場成長率も高く、マーケットシェアを高いです。しかし、競合も激しくなるので、シェアを拡大したり、維持するために広告費用などの投資額も増えてしまいます。投資をしている分、利益は出しやすいですが投資額がとても多いので収益にはさほどならない状況になります。ある程度安定をしてきたら、金なる木になるように整えていきます。


金のなる木
成熟期や衰退期の市場のことです。成長率は低いですが市場のシェアは高くなります。安定的に収益を得ることができるので、この金なる木を問題児に回すことがおすすめです。

負け犬
成熟期から衰退期に該当をします。利益も少なくなるので、撤退、売却を検討する必要があります。しかし、この時期に売却をしても高く買い取ってくれる事業は多くはありません。もしも売却を検討する場合は、花形事業の際に多くの価値を持って売却をした方が高く販売することができるようになります。

合わせて知っておきたい事業ポートフォリオとは?

経営戦略を考える中で、事業ポートフォリオも視野に入れて戦略を練る必要があります。事業ポートフォリオとは、事業を様々な領域で展開をすることです。事業を分散することにより、ひとつの事業が衰退をしても他の事業が会社全体を支えてくれるようになります。実際にどのような観点から事業ポートフォリオを考えれば良いのでしょうか?

事業ポートフォリオで必要な6つの観点

事業ポートフォリオを考えるさいは、6つの観点が必要になります。

・事業の魅力度
この事業で成功する要因があるのか、勝算があるのか?など純粋に利益を出せる可能性があるのかどうか?という観点で事業を考えます。市場の規模や成長性、利益率、環境の変化による事業の影響などを考慮して考えます。

・競合上の優位性
事業を始めた場合、勝ち目があるかないかを考えます。ブランディングひとつで市場に勝てる可能性は十分にありますが、レッドオーシャンの中に入っていくには、かなりの労力とマーケティング費用、広告費用などが発生する可能性が十分に考えられます。それらを見越して、本当に競合に優位になれるのかを検討することが必要です。

・事業間のシナジー
個人的には、このシナジー効果が重要だと考えています。このシナジー効果とは、複数の事業をもち、共通の資源を利用するということです。例えば、人の管理、既存顧客の有効活用、営業のコストカット、事業運営のノウハウなどを上手に活用していきます。そうすることで、事業間同士のシナジーが発生しメリットが引きこるということです。

事業シナジーの4つの見方

事業シナジーを考える際に、おすすめしたい6つの観点があります。
・販売シナジー
販売経路を同じにする、流通を同じにする、広告のノウハウを利用

・生産シナジー
生産設備や原材料を同じにすることで、製品の生産コストを低下させることができる

・管理シナジー
会計、人事、労務などをひとつに集中させることにより、無駄なコストを省くことができます。

・人材シナジー
同じ人材を利用することができるため、スキル、ノウハウをもった人をそのまま流用することができます。

経営戦略を考えるときは、まずは自社の状況を把握しよう

経営戦略を考える際は、自社の事業がそれぞれのライフサイクルの中のどの段階なのか、今の問題点は何か?をしっかりと把握する必要があります。また、新規事業を立ち上げる際には既存の事業とのシナジー効果を明確にすることで、より効率的に事業を運営することができるようになります。次回は、競合に負けないようにするためには、どのような戦略が有効なのかについて学んでいきます。

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