放置は危険!モンスター社員を解雇させるために踏むべきステップをご紹介

事業を進めていく上で欠かせない人材。社員一人ひとりを大切にしたいと思っていても、問題行動が目立ち、改善のきざしが全く見られない困った社員もいますよね。

問題行動を改善するために、「あれこれ対策してみたけれど、もう限界…」と感じているあなたへ、そんなモンスター社員をクビにする方法について詳しく解説していきます。

この記事を読むことで、あなたのお悩みを解決するヒントが見えてくるかもしれません。
ぜひ読み進めてみてください。

企業の存在を脅かすモンスター社員の問題行動

モンスター社員と一口に言っても、その問題行動の内容はさまざまです。そんなモンスター社員の問題行動について、6つピックアップしました。
あなたの会社にいる社員にどれほど当てはまるか考えながらご覧ください。

・指示に従わないモンスター社員
モンスター社員の中でも、無責任な態度が目立ち、過度な自己主張をする人がいます。例えば、自分のタスクを放置したり、業務の締め切りを守らなかったり、あるいは「自分にふさわしい業務内容ではない」と業務指示そのものを拒否するなど、業務の進捗にダイレクトに関わってきます。

・遅刻や無断欠勤を繰り返すモンスター社員
電車遅延や病気などの理由なく、遅刻や無断欠勤を繰り返すタイプのモンスター社員です。周囲の社員の不満がたまってしまい、士気を下げかねません。

・パワハラ、セクハラなどハラスメント行為を繰り返すモンスター社員
相手を不快にさせるハラスメント行為。周囲のメンバーを不快にさせるだけでなく、コミュニケーション不足を招いたり、人材流出につながったりと、悪影響を及ぼします。

・仕事の量が少ないにも関わらず仕事が遅れがちなモンスター社員
極端に能力が不足していたり、そもそもやる気自体がなかったりと、与えられた仕事量が少ないにもかかわらず、仕事が遅れがちな社員がいます。

・刑事事件に関与するモンスター社員
プライベートで刑事事件に関与しているモンスター社員がいます。会社とは一見関係ないように思えるかもしれませんが、勤務先の情報が洩れることで企業イメージを損なうケースも少なくありません。

・会社の経費を不正利用・横領するモンスター社員
通勤手当の経費精算における不正や、私物購入を経費申請するなど、故意であるかどうかに関わらず起こりがちな事例です。

簡単には辞めさせられない…モンスター社員をクビにするリスク

定期的な面談や丁寧な指導などのサポートをしてきたが、全く改善が見られない、あるいは問題行動の内容が重大であるために解雇を検討したい方へ、モンスター社員をクビにするリスクにいて、3つピックアップしてご紹介します。

①労働基準局へ駆け込まれる可能性

モンスター社員が不当解雇だと主張し、労働基準局による調査や審査の対象となる可能性があります
正当な手順に沿った解雇であることを証明するためにも、解雇前の面談は必ず行い、解雇理由の正当性が分かるよう文書を残しておきましょう。

また、その際に解雇理由が差別的(女性だから、介護をしていたからなど)でないこともポイントです。

②解雇による訴訟リスク

モンスター社員が「不当解雇」だと主張し、訴訟を起されるリスクがあります。裁判となると、その準備には時間や労力など多大なリソースを割くことになりますし、弁護士費用など金銭的にもダメージを受けます。

③辞めた後にネットへの悪評を書き込みされる

求職者が会社を知るための情報源として重宝されている「転職会議」や「openwork」といった企業の口コミサイト。

わだかまりを残して辞めたり、解雇を不服に感じたモンスター社員が、上記のような口コミサイトに悪質な書き込みをする可能性が生じてしまいます。

ハラスメントがないのに「ハラスメントが横行していた上、不当解雇は当たり前」など、企業の実態に即しない口コミが投稿されると、それを見た求職者への心証は悪くなってしまいます。

モンスター社員をクビにするなら知っておきたい「解雇」の種類

「解雇」とひとくくりにしていますが、主に「普通解雇」「整理解雇(リストラ)」「懲戒解雇」と3つに分けられます。
今回は、モンスター社員の解雇に関わってくる「普通解雇」と「懲戒解雇」について説明します。

普通解雇

普通解雇とは、やむを得ない事由があるときに使用者が一方的に労働契約を解約することです。整理解雇、懲戒解雇以外の解雇のことを指します。

例えば…
職務遂行能力不足、勤務態度が不良・非違行為がある、ケガや病気で働けない、規律違反・不正行為・業務命令違反 など

なお、普通解雇を行う条件として、業務上の都合や経営状況の悪化など、雇用者側の事情に基づく客観的かつ合理的な理由が必要です。

また、職務遂行能力不足を理由とした場合には、改善指導を十分に行っていることが前提となります。

懲戒解雇

従業員の「規律違反」に対する制裁として行われる解雇のことを言います。

例えば…
横領、職務上の不正行為、重要な業務命令の拒否、無断欠勤、重大なハラスメント行為、経歴の詐称 など

なお、懲戒解雇を行う条件として、職務上の過失や不正行為を理由とする場合には、就業規則に明記されている必要があります。

また、注意しておきたいのが、その「即時性」です。
違反行為が発覚してから時間が経ってしまうと懲戒解雇が認められなくなる場合があるので気を付けてください。

どうしても辞めさせたい…解雇を法的にも認めてもらうには?

解雇した際のリスクを考えてみたが、辞めさせないと企業全体に甚大な悪影響を及ぼすためどうしてもモンスター社員をやめさせたいと思っているあなたに、解雇を法的に認めてもらうためにやっておくべきこと、法的に認められるケースについて解説していきます。

●就業規則の明記と、周知の徹底

解雇を行う際、職務上の過失や不正行為を理由とする場合には、就業規則に明記されている必要があります。
ですが、就業規則に明記されているだけでは不十分です。

従業員に就業規則が適切に周知されておらず、解雇事由や手続きが明確でない場合は、解雇が無効とされる可能性が生じます。

就業規則の周知を徹底するために、従業員に就業規則を配布する、社内掲示板に掲載するなど、社員に「就業規則を知らなかった」と言わせないようにしましょう。

●調査会社による素行の調査で証拠を抑えておく

処分を検討しているモンスター社員の日頃の問題行動の事実関係と、その事実の根拠となる証拠について調査をしましょう。

また、上司や同僚など、関係者への聞き取り調査を行うだけでなく、PCの記録、問題行動改善のための指導記録をとっておき、万が一に備えておきましょう。

このように記録を取っておくことで、モンスター社員への処分が適切であったといえる証拠になります。

●病気休職の期間満了による解雇など明確な基準があるもの

社員が病気休職中で、休職期間が満了し、その後も回復の見込みがない場合は、能力不足による普通解雇の対象となることがあります。

例えば…
長期にわたる病気休職を経ても回復が見込めず、就業が困難な状態が続く場合、解雇を検討することができます。

なお、解雇に踏み切る前に、適切な再就職支援などを検討してください。
また、意見を聞く機会を設ける・弁明の機会を与える・解雇事由について十分な説明を行い、理解を得るなどの適切な手続きや対応が必須であることも頭に入れた上で進めましょう。

モンスター社員をやめさせるために、日々の記録と適切な手続きを徹底しよう!

社員を解雇するには、多くのリソースが必要ですし、そもそも簡単にやめさせることはできません。

しかしながら、モンスター社員を放置しておくとチームメンバーに不満がたまるばかりか、企業全体に悪影響を及ぼしかねません。

問題行動を改善するための行動はしつくしたが改善傾向が全く見られない、ということもあるかもしれません。その場合には、会社を守るための判断として、「解雇」という選択肢が出てきます。

なお、解雇を検討する際には、「労働基準局へ駆け込まれる可能性」「解雇による訴訟リスク」「辞めた後にネットへの悪評を書き込みされる」といったリスクを考慮してください。

また、解雇をする正当な理由と、その理由を証拠づけるための日々の記録が必用です。指導記録などは必ず文書で残しておき、訴訟など万が一に備えておきましょう。