医院の収益構造を徹底解説|利益を残す経営の仕組み

医院 収益構造 - 医院の収益構造を徹底解説|利益を残す経営の仕組み

「売上は悪くないのに、なぜ手元にお金が残らないのだろう」——多くの院長が抱える疑問ではないでしょうか。患者数は安定している、診療報酬も適正に請求している、それでも経営に余裕を感じられない。

問題は医院の収益構造そのものにあります。売上だけを見ていても、利益が残る経営は実現できません。重要なのは、収入と支出の流れを正確に把握し、利益を生み出す仕組みを構築することです。

この記事では、医院経営における収益構造の基本から、利益率を向上させる具体的な方法まで、13年間クリニックを運営してきた院長の視点で詳しく解説します。数字に振り回されない、持続可能な経営の土台を築くヒントが見つかるはずです。

第1章 医院の基本的な収益構造とは

医院 収益構造 - 医院の基本的な収益構造とは

医院の収益構造を理解することは、経営改善の第一歩です。診療報酬制度に基づく売上の仕組みから、人件費や設備費といった費用項目まで、医院特有の財務構造を把握することで、利益を残すための具体的な戦略が見えてきます。

1-1 診療報酬による売上の仕組み

医院の売上は、診療報酬制度に基づいて決まります。患者さんが受ける医療サービスに対して、厚生労働省が定めた点数表により報酬が算定される仕組みですね。

診療報酬の基本構造は以下のようになっています:

  • 基本診療料:初診料(288点)、再診料(73点)など
  • 特掲診療料:検査、処置、手術などの技術料
  • 薬剤料:処方した薬剤の費用
  • 材料料:医療材料の費用

例えば、内科クリニックで風邪の患者さんを診察した場合、再診料73点、処方箋料68点、薬剤情報提供料10点などが算定され、1点10円で計算すると1,510円の売上となります。自由診療を除き、この点数は全国一律で決められているため、医院側が価格を自由に設定することはできません。

売上を伸ばすためには、患者数の増加か、一人当たりの診療単価の向上が必要です。診療単価は適切な検査や処置の実施、加算の取得などで改善できますが、過剰診療にならないよう注意が必要ですね。

1-2 医院経営における主要な費用項目

医院の費用構造は、一般企業と比べて人件費の割合が高いという特徴があります。主要な費用項目を整理してみましょう。

費用項目売上に占める割合主な内容
人件費50-60%医師・看護師・事務スタッフの給与、社会保険料
材料費10-15%薬剤費、医療材料費、検査試薬費
設備費8-12%医療機器リース料、減価償却費
家賃・光熱費8-12%賃料、電気・ガス・水道代
その他経費5-10%広告費、保険料、税理士報酬など

人件費が売上の半分以上を占めるのは、医療が労働集約的なサービス業だからです。看護師や事務スタッフの配置基準もあり、一定の人員確保が必要になります。

材料費については、後発医薬品の使用や在庫管理の改善で削減の余地があります。設備費は医療機器の選択や導入時期の検討で最適化できますが、診療の質を落とさないバランスが重要ですね。

1-3 利益率の計算方法と業界平均

医院の利益率を正確に把握することで、経営状況を客観視できます。基本的な計算式は以下の通りです:

  • 営業利益率 = (売上 – 経費)÷ 売上 × 100
  • 経常利益率 = (営業利益 + 営業外収益 – 営業外費用)÷ 売上 × 100

日本医師会の「医療経済実態調査(令和4年)」によると、一般診療所の損益率(経常利益率)は平均で約8-12%程度となっています。ただし、診療科目や規模によって大きく異なるのが実情です。

厚生労働省の医療経済実態調査では、医療機関の損益率の状況について継続的な調査を実施し、医院経営の収益構造に関する基礎データを公表しています。

出典: 厚生労働省|[PDF] 第25回医療経済実態調査の概要 (令和7年 11月26日版)

内科系クリニックの場合、利益率10%前後が一つの目安となりますが、重要なのは絶対的な数値よりも、自院の収益構造を継続的に分析することです。月次で売上と費用を把握し、前年同月比や予算との差異を確認する習慣をつけることで、経営の改善点が見えてきます。

利益率が低い場合は、まず人件費率と材料費率を確認してみてください。人件費率が65%を超えている場合は、業務効率化やスタッフ配置の見直しが必要かもしれません。

第2章 利益が残らない医院に共通する問題点

医院 収益構造 - 利益が残らない医院に共通する問題点

売上は確保できているのに手元に利益が残らない—この状況に陥る医院には、共通する構造的な問題があります。多くの院長は個別の症状に対処しがちですが、根本的な収益構造の歪みを見極めることが重要ではないでしょうか。

2-1 人件費率の高騰による利益圧迫

医院経営において人件費率は収益性を左右する重要な指標です。一般的に、診療所の人件費率は売上の50〜60%が適正とされていますが、利益が残らない医院では70%を超えるケースも珍しくありません。

人件費率が高騰する主な要因を見てみましょう。

  • スタッフ一人当たりの生産性が低い状態での人員増加
  • 業務効率化を図らずに残業代が常態化
  • 役割分担が不明確で重複業務が発生
  • 患者数に対してスタッフ数が過剰配置

例えば、月間患者数1,200人の内科クリニックで、看護師3名・事務員4名の体制を取っている場合、患者一人当たりのスタッフコストを計算してみてください。人件費が月額350万円なら、患者一人当たり約2,900円のスタッフコストがかかっている計算になります。

改善のポイントは、まず現在のスタッフ一人当たりの患者対応数を把握することです。そして業務の標準化を進め、各スタッフの生産性向上を図ることで、適正な人件費率に近づけていけるはずです。

2-2 診療効率の低下と稼働率の問題

診療効率の低下は、時間当たりの売上を直接的に圧迫します。特に予約制を導入していない医院では、待ち時間の長さが患者満足度を下げ、結果的に患者数減少につながるケースが見られますよね。

診療効率を阻害する要因として、以下のような問題があります。

  • 電子カルテの操作に時間がかかりすぎる
  • 検査結果の確認や説明に非効率な手順を踏んでいる
  • 診療室の動線設計に問題がある
  • スタッフとの連携がスムーズでない

具体的な数字で見ると、1時間に診察できる患者数が8人から12人に改善されれば、同じ診療時間で売上が1.5倍になります。午前4時間・午後3時間の診療で、患者単価3,000円とすると、日額の売上は168,000円から252,000円に増加する計算です。

改善策として、診療の標準化を進めることが効果的です。よくある症状に対する診療フローを明文化し、スタッフ全員が共有できる仕組みを作ることで、診療時間の短縮と質の向上を両立できるでしょう。

2-3 固定費の見直し不足と無駄な支出

開業から数年が経過すると、当初必要だった設備や契約が現在の診療実態に合わなくなることがあります。しかし多くの院長は日々の診療に追われ、固定費の見直しを後回しにしがちです。

見直しが必要な固定費の代表例を整理してみましょう。

項目見直しポイント削減可能額(月額)
医療機器リース使用頻度の低い機器の解約5〜15万円
通信費回線の統合・プラン見直し1〜3万円
保険料補償内容の適正化2〜5万円
消耗品発注方法・業者の見直し3〜8万円

特に注意したいのは、医療機器の過剰投資です。「あると便利」という理由で導入した機器が、実際には月数回しか使われていないケースは珍しくありません。年間リース料120万円の機器を月10回しか使わないなら、1回当たりのコストは1万円になってしまいます。

固定費の見直しは、年に2回程度定期的に行うことをお勧めします。各項目について「現在の診療に本当に必要か」「費用対効果は適切か」という視点で検証することで、無駄な支出を削減し、利益率の改善につなげることができるはずです。

💬 代表メッセージ:医療法人理事長の「経営の主導権」を取り戻すために

私たちMillenniumが目指すのは、医療法人理事長が「経営の主導権」を、もう一度、取り戻すことです。スタッフ問題に消耗する院長を、本来の医療と、人生に、戻すこと——それが私たちの仕事です。私たち自身も、過去に経営の現場で混乱と孤独を経験してきました。だからこそ知っています。医療法人の現場で起きている「症状」の正体は、ほとんどの場合「経営の土台」の問題であることを。診療スキルと経営スキルは別物です。医師として優秀であることと、経営者として自由であることも、別の話です。その自由は、診療の腕では辿り着けません。経営の土台が整って、初めて、見える場所にあります。Millenniumは、その土台を、外部の立場から、月次で伴走しながら、つくる専門家です。代表個人のスキルに依存しない、再現性のある支援を、組織として提供します。だから長く伴走できる。だから複雑に絡まった問題にも対応できる。理事長が、診療に集中できる平日の午後を、家族と過ごす何でもない夜を、スタッフに振り回されない静かな朝を、そして、自分の医療を納得できる形で次に渡せる未来を——もう一度、手にしてほしい。それがMillenniumの願いです。

第3章 収益性を高める具体的な改善策

医院 収益構造 - 収益性を高める具体的な改善策

医院の収益構造を改善するには、診療単価の向上と業務効率化を両輪で進めることが重要です。ここでは、明日から取り組める施策から中長期的な戦略まで、段階的にご紹介します。

3-1 診療単価向上のための取り組み

診療単価を上げる際、「患者さんに負担をかけるのでは」と躊躇される院長も多いのではないでしょうか。しかし、適切な医療提供は患者さんの利益にもつながります。

まず検査の適正化から始めましょう。例えば生活習慣病の患者さんに対して、年1回の頸動脈エコーや心電図を定期的に実施することで、1回あたり1,500〜3,000円の単価向上が見込めます。月200名の患者さんがいれば、年間で36万〜72万円の増収になります。

  • 生活習慣病管理料の算定漏れチェック(月280点)
  • 在宅時医学総合管理料の適正算定(月4,500点)
  • 特定疾患療養管理料の確実な算定(月225点)
  • 予防接種や健康診断の積極的な案内

また、自費診療の導入も効果的です。プラセンタ注射やビタミン注射なら初期投資も少なく、1回2,000〜5,000円の収益を確保できます。

3-2 業務効率化による人件費適正化

人件費は医院運営の大きな要素ですが、単純な削減ではなく効率化による適正化を目指しましょう。

受付業務の見直しから着手してみてください。予約システムの導入により、電話対応時間を1日2時間短縮できれば、パート職員1名分の人件費(月8万円程度)を他の業務に振り向けられます。

改善項目効果投資額
Web予約システム電話対応2時間/日削減月1〜3万円
自動精算機会計業務30%効率化200〜400万円
電子カルテ最適化診療時間10%短縮設定費用のみ

スタッフの多能工化も重要です。受付スタッフが簡単な検査補助もできれば、看護師はより専門性の高い業務に集中できます。これにより、同じ人数でも患者対応力が20〜30%向上する事例が多く見られます。

3-3 中長期的な経営戦略の構築

持続的な収益向上には、3〜5年先を見据えた戦略が欠かせません。地域の高齢化率や競合状況を踏まえ、自院のポジションを明確にしていく必要があります。

在宅医療への展開は有力な選択肢の一つです。訪問診療1件あたりの診療報酬は外来の3〜4倍になることが多く、月20件の訪問で150万円程度の増収が見込めます。ただし、24時間対応体制や移動時間を考慮した人員配置が必要になります。

自由診療分野の拡充も検討してみてください。美容皮膚科や健康診断の充実により、保険診療に依存しない収益基盤を築けます。特に健康診断は地域企業との契約により安定収入を確保できる魅力があります。

データ分析による経営判断も重要です。患者の年齢層別収益分析や時間帯別の効率性を把握し、診療時間や人員配置を最適化することで、収益性を15〜25%改善できる場合もあります。院長自身が数字を読み解く力を身につけることが、持続的な成長への第一歩になるでしょう。

第4章 収益改善に成功した医院の事例

医院 収益構造 - 収益改善に成功した医院の事例

医院の収益構造改善は理論だけでは進みません。実際に成果を上げた医療法人の取り組みを見ることで、具体的な改善手法と注意すべきポイントが見えてきます。ここでは3つの異なるアプローチで収益改善を実現した事例をご紹介します。

4-1 人件費適正化で利益率を改善した内科クリニック

埼玉県内の内科クリニック(常勤医師2名、スタッフ15名)では、人件費率が売上の65%に達し、理事長の手取りが月額40万円まで減少していました。

改善のきっかけは、スタッフ1人当たりの売上貢献度を可視化したことです。受付業務を担当する正社員3名の時間当たり生産性を分析すると、ベテランスタッフの業務効率が新人の1.8倍であることが判明しました。

  • 受付業務の標準化により、新人でも3か月でベテラン並みの効率を実現
  • 非常勤スタッフの配置見直しで、繁忙時間帯の人員配置を最適化
  • 事務作業の一部をアウトソーシングし、正社員を患者対応に集中

結果として人件費率は52%まで低下し、理事長の年収は1.5倍に増加。スタッフの残業時間も月平均8時間から3時間に削減され、働きやすさも向上しました。

4-2 自由診療導入で収益性を向上させた事例

神奈川県の皮膚科クリニックでは、保険診療だけでは月間売上が頭打ちになっていました。立地は良いものの、近隣に競合が増え、1日の患者数が80名から60名に減少していたのです。

院長は美容皮膚科の導入を決断しましたが、いきなり高額機器を購入するのではなく、段階的なアプローチを選択しました。

  • まずはピーリングやイオン導入など、既存設備で対応可能なメニューから開始
  • 保険診療の患者に対して、自然な流れで自由診療の提案を行う仕組みを構築
  • スタッフ向けの接遇研修を実施し、自由診療への案内スキルを向上

導入から6か月後、自由診療の売上は月額120万円に到達。保険診療と自由診療の売上比率は7:3となり、利益率は従来の18%から32%に改善しました。患者単価の向上により、患者数が減少しても総売上は増加する構造に変化しています。

4-3 業務効率化により働き方を改善した医院

大阪府の整形外科クリニックでは、院長の労働時間が週70時間を超え、スタッフの退職率も年間30%と高い状況でした。収益は悪くないものの、持続可能性に疑問を感じていた院長が業務効率化に着手しました。

改善の核となったのは、診療業務以外の時間の使い方を徹底的に見直すことでした。院長の1日のタイムスケジュールを15分単位で記録すると、診療以外の業務が全体の40%を占めていることが分かりました。

改善項目従来改善後効果
レセプト業務院長が確認事務長に移管週5時間削減
薬品発注手作業で管理自動発注システム週3時間削減
予約管理電話のみWeb予約導入スタッフ負担軽減

これらの改善により、院長の労働時間は週55時間まで短縮され、スタッフの退職率も年間10%以下に改善。働きやすい環境が整ったことで、優秀なスタッフの定着率が向上し、結果的に患者満足度も高まりました。医院の収益構造において、人的資源の安定は極めて重要な要素だということを実証した事例です。

すべての判断は表面の症状ではなく、その下にある経営の土台で扱うと何が見えてくるかを考える必要があります。「売上は悪くないのに手元にお金が残らない」という現象も、単なる資金繰りの問題ではなく、収益構造そのものの設計に原因があることがほとんどです。

よくある質問

医院の適正な利益率はどの程度ですか?

一般的に医院の営業利益率は10-15%程度が目安とされており、規模や立地により変動します。ただし、これは表面的な数字であり、実際の収益構造を理解するには詳細な分析が必要です。

人件費率が高い場合の対処法を教えてください

まず現状分析を行い、業務効率化や適正な人員配置の見直しから始めることをお勧めします。単純な人件費削減ではなく、生産性向上による改善が重要です。

自由診療導入時の注意点はありますか?

患者説明の充実、料金設定の根拠明確化、スタッフ教育が成功の鍵となります。既存の保険診療との整合性を保ちながら段階的に導入することが大切です。

第5章 外部COOサービスの詳細を見る

外部COOサービスを見る

医院の収益構造改善で当社が選ばれる理由

収益構造の根本的な可視化

売上があるのに利益が残らない原因を、財務・人材・契約・役割・リスクの5つの視点から構造として可視化。表面的な数字ではなく、利益を阻害している真の要因を明確にします。

院長の経営負担を軽減する役割再設計

院長が診療以外の業務に追われ、収益管理が疎かになる問題を解決。院長・配偶者・幹部・スタッフの役割と権限を明確化し、効率的な収益管理体制を構築します。

継続的な実行管理で確実な改善

助言だけでなく、月次での伴走により収益構造の改善を実行管理。採用コスト削減、自由診療導入、労務効率化など、利益率向上に直結する施策を着実に実現します。

混乱した収益構造を整理し、院長の経営主導権を取り戻しませんか?

お問い合わせはこちら

この記事の運営元について

本記事はミレニアム株式会社が運営する情報メディアの記事です。医療法人コンサルティングに関する実務経験と専門知識をもとに、読者の意思決定に役立つ情報を提供しています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次