[モンスター社員を辞めさせるマニュアル]経営者がやるべき具体的なステップ3選

問題行動を起こし、職場環境の悪化や人材流出を招き、企業に悪影響をあたえてしまうモンスター社員。経営リスクとなりうるモンスター社員をやめさせたいと思っても、社員を簡単に解雇することは容易ではありません。それでは、モンスター社員をやめさせるにはどうしたらよいのでしょうか。
その具体的な方法と、辞めさせることで起きるリスクについて詳しく解説していきます。

「モンスター社員の問題行動を改善するために頑張ったがもう限界…」と感じているかたは、ぜひ読み進めてみてください。

目次

モンスター社員に対処するには?辞めさせるときはどうする?

モンスター社員

モンスター社員がいるけどどうしたら、とお悩みの方に、モンスター社員の問題行動への対処法や、辞めさせる方法について詳しく解説していきます。

モンスター社員への対処法①1on1の面談を行う

モンスター社員が問題行動をなぜ起こすのか、そして解決に向かうためにはどうすればよいか考えるために、1on1の面談の機会を設けましょう。

なお、モンスター社員の言動や対応の記録をとるだけでなく、教育指導や業務指示についても記録を残しておくのがおすすめです。
指導や指示の結果、どういった行動に至ったかを記載しておくことで、問題点がはっきりするだけでなく、万が一の場合にトラブルを防ぐことができます。

モンスター社員への対処法②部署異動を検討しよう

モンスター社員の希望に沿っておらずにモチベーションを保てていなかったり、能力に合っていないために生産性が著しく下がっているケースもあります。

そのような場合には、社内での配置転換を検討しましょう。その際には、配置転換をする上で、モンスター社員の意向をおろそかにしないように注意することがポイントです。

モンスター社員への対処法③評価制度に基づき減給をする

問題行動の内容が重大である、改善の傾向がみられないなど、場合によっては減給するという方法も検討する項目のひとつです。注意したいポイントとしては、減給は労働者に対する不利益が大きいことから、慎重に進める必要があります。また、減給については下記のようなルールが労働基準法によって定められています。特に減給を検討している方は、必ず読んでください。

(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

厚生労働省

※モンスター社員を変えたい!と思った方は、下記の記事をご参考にしてください。

[最新版]モンスター社員の指導の3つのステップで職場が安定します。でも紹介をしていますので、ぜひご覧ください。

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上記のような対処法を試みた結果、解雇せざるを得ない状況の方もいらっしゃるかと思います。
それでは、解雇することを検討する際に知っておきたいポイントをお伝えします。

解雇は主に「普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」の3つ

●「普通解雇」とは
普通解雇とは、やむを得ない事由があるときに使用者が一方的に労働契約を解約することです。整理解雇、懲戒解雇以外の解雇のことを指します。
例)職務遂行能力不足、勤務態度が不良・非違行為がある、ケガや病気で働けない、規律違反・不正行為・業務命令違反 など

●「整理解雇(リストラ)」とは
企業が経営危機にある等を理由として人員削減を目的とする解雇のことです。

●「懲戒解雇」とは
従業員の「規律違反」に対する制裁として行われる解雇のことを言います。
例)横領、職務上の不正行為、重要な業務命令の拒否、無断欠勤、重大なハラスメント行為、経歴の詐称 など

転職や独立を支援して、セカンドキャリアを促そう

企業が自社社員の転職や独立を支援することを、「転進支援」といいます。
また、再就職支援は、従業員の早期転進を支えるサービスで、退職者が抱える不安を和らげてくれます。

解雇して終了だと、どうしても辞めた従業員に反感を持たれてしまうものです。
辞めたあとでも生計を立てられるよう、転進支援を検討してみましょう。

モンスター社員を辞めさせると起きるリスク

経営者やめたい

モンスター社員とはいえ、社員のひとり。解雇する場合には相応のリスクが発生します。
職場の困った社員を解雇しようと考えているあなたに、そのリスクについて解説します。
リスクを踏まえた上で、解雇を検討してみてください。

リスクその①労働基準局へ駆け込まれる

モンスター社員が不当解雇だと主張し、労働基準局による調査や審査の対象となる可能性があります
正当な手順に沿った解雇であることを証明するためにも、解雇前の面談は必ず行い、解雇理由の正当性が分かるよう文書化しておきましょう。

また、その際に解雇理由が差別的(女性だから、介護をしていたからなど)でないこともポイントです。

リスクその②企業サイトに口コミを記載されるリスク

転職が一般的になってきた昨今。「転職会議」や「openwork」といった企業の口コミサイトの需要も高まり、求職者が企業を知るための情報の一つとして重宝されています。

そんな中、わだかまりを残して辞めたり、解雇を不服に感じたモンスター社員が、上記のような企業サイトに悪質な書き込みをする可能性が生じてしまいます。

ハラスメントがないのに「ハラスメントが横行していた上、不当解雇は当たり前」など、企業の実態に即しない口コミが投稿されると、それを見た求職者への心証は悪くなってしまいます

リスクその③訴訟を起こされる可能性がある

モンスター社員が「不当解雇」だと主張し、訴訟を起されるリスクがあります。裁判となると、その準備には時間や労力など多大なリソースを割くことになりますし、弁護士費用など金銭的にもダメージを受けます。

起きるリスクを最小限にするための具体的なステップ

経営者 疲れた

モンスター社員を解雇した際に、訴訟リスクなどの可能性があることを解説してきました。
では、トラブルを防ぐためには何をすればよいでしょうか?

可能な限り起きるリスクを少なくし、会社を守る方法を3つのステップに分けてご紹介します。

ステップ1)調査会社に依頼をし、日頃の行動の証拠をとる

処分を検討しているモンスター社員の日頃の問題行動の事実関係と、その事実の根拠となる証拠について調査をしましょう。

また、上司や同僚など、関係者への聞き取り調査を行うだけでなく、PCの記録、問題行動改善のための指導記録をとっておき、万が一に備えておきましょう。

このように記録を取っておくことで、モンスター社員への処分が適切であったといえる証拠になります。

ステップ2)外部機関に1on1を依頼し、周囲の評価を知る

客観性を担保するために、外部機関に1on1を依頼してみましょう。自社内で行うだけだと、担当者のスキルに結果がゆだねられてしまい、問題解決が難しくなるケースも。

モンスター社員の周りの社員は、どう思っているのか、何が迷惑だと思っているかをしっかりヒアリングすることが大切です。

モンスター社員がいることで何が起きているかを正確に測るために、外部機関へ1on1の依頼を検討してみてください。

ステップ3)困ったら法律のプロである弁護士に相談しよう

モンスター社員の対処や解雇ですが、対応が法的に正しいかどうかを判断するのに、自社だけで行うには限界があります。

知らず知らずに、法的観点から不適切な対応をしてしまい、「パワハラだ」「不当解雇だ」といったトラブルに発展してしまったり、懲戒処分の撤回に追い込まれるケースも少なくありません。

そのため、モンスター社員への対処や解雇の検討にあたっては、こういったモンスター社員対応に精通した弁護士に相談すると安心です。

適切にモンスター社員へ対処するために、積極的に専門家を活用しましょう。

解雇はリスクも大きい!適切な対処で会社を守ろう

困った社員がいるからやめさせたいと思っても、簡単に解雇することはむずかしいのが現実です。

ですが、問題行動を改善するための指導をやっても変わってくれなかったり、問題行動が重大な違法行為に該当するなど、解雇を検討しなければならない場合があります。

解雇を検討するにあたっては、訴訟リスクや労働基準局への対処など、会社のリソースを割かなければならない事案が発生する可能性があります。

そういった事態を引き起こす可能性を最小限におさえるため、まずは、会社側で度重なる指導を行ったことが証明できるようにすることが肝心です。

例えば、日頃からモンスター社員に関係する記録を取ったり、弁護士に相談するなどもそのひとつ。このようにして、適切に対処して従業員、会社を守りましょう。

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