マーケティングミックス価格の決め方②

マーケティング価格

前回は、マーケティングミックスにおける消費者の価格に対する心理や、値段の決め方についてお伝えをしました。しかし、企業側としてはできるだけ良い商品を高く販売をし、さらに品質改善に取り組みたいところではあるかと思います。

そこで今回は、どの様にしたら商品の価値をあげることができるのか?そして、どのような仕組みを利用することで、より高く商品を購入してもらえるのかについてお伝えをします。

目次

お客様が持つ、3つの価格の心理とは

消費者は、主に3つの価格の痛みがあります。この3つの価格の痛みを理解することが、商品の価値を高める方法に繋がります。それぞれの心理についてみていきましょう。

・支出の痛み
全く同じ製品であれば、より安い方を買いたいと思う消費者の心理です。

・品質のバロメーター
製品についてよくわからない場合は、一般的には値段が高い方が品質が良いと判断をします。例えば、ブランド品の化粧品の方が薬局で販売されている化粧品よりも良いものを利用しているに違いない!などという消費者の心理が働いています。

・プレステージ性
価格が高い商品を利用することで、消費者の承認欲求が満たされることです。例えば、ロレックスとアップルウォッチを比較をすれば、機能性は健康管理やメールの通知がくるアップル製品の方が有効です。しかし、ロレックスという高級腕時計をすることに価値を感じるためあえて高級な方を購入する。ということです。

この3つの心理が、消費者がものを購入する際に関わってくることを頭の中に入れておきながら価格の設定をすることが重要です。

もしも、マーケティング費用に余力がある際は、PSM分析を利用することをおすすめします。例えば、商品を購入したいと思う価格、いくらまでなら出すことができるのか、いくら以下なら安いと思えるのか?などの質問を行うことをおすすめしています。ただし、アフェリエイトなどのポイント目的で、適当に回答をする人たちも多いので、参考資料程度がおすすめです。

差別化をするために収益をあげる方法

製品に対して、できるだけ高い価格で販売をするために必要な差別化戦略についてお伝えをいたします。消費者の心理は、それぞれの背景で異なるのでそれぞれの製品でいくらまで出して良いのかが分かれているのでしっかりと把握しておきましょう。

知っておきたい基本原則3つ

◆価格を個人ごとに変える方法
交渉やオークションを通じて個々に価格を変える個人プライシングというものがあります。BtoBの取引やヤフオク、メルカリなどもここに含まれます。

◆商品のバージョンに応じて価格を変更する方法
異なるメニューとは、一番高い値段のコース、中間のコース、一番お値打ちなコースなどの3つに分かれています。他にも、セルフサービスか否かで値段も変えることもこの中に含まれてきます。また、大きな特徴として、商品に対しての価値を認めてくれる人たちにはプレミアムの金額でさらに良質なものを提供するという方法もあります。例えば、JALやANAなどのプレミアムシート(ファーストクラス)などのことです。

◆セグメント別の販売をする方法
セグメント別は、よく利用される価格の設定方法です。学生、主婦などのターゲット別で販売する価格を変える方法です。(セグメントプライシング)ホットペッパーで見かける学生割や携帯電話の家族割などもセグメント別に対しての販売を行っています。

他にも、ランチはお値打ち価格で食べれるレストランや同じコーヒー1杯もヒルトンなら1杯1000円などもこのセグメント別の販売に該当をしてきます。

組み合わせを利用して単価をあげる方法

組み合わせを利用して単価をあげる方法は、飲食店を例にあげると一番わかりやすいかもしれません。例えばマクドナルドも単品のハンバーガーを売るよりもドリンクとのセット価格を売ることによりひとり当たりの顧客単価をあげる方法です。

個人的な意見ですが、単品を2個頼んだ方がコスパが良い時がありますが、多くの場合はセットへ焦点がいくので、ひとり当たりの単価をあげることに成功をしていると言えます。飲食店以外では、3個で1000円!などと見かけることもありますが、これも単品よりも購買意欲をそそるため頻繁に利用されています。

無料→有料のアプローチは有効なのだろうか?

無料のアプローチをするさいは、誰に、どんなポジションで販売するのか?により効果の有無が異なります。見極めなければ、後で収穫をすることができずに終わってしまうケースも少なくありません。しかし、無料というのはとても魅力的に思えますよね。コンサルを行っていると、最初の認知度の拡大や無料の提供をすることにより、最初のハードルを下げることができるのではないか?と思えることがしばしあります。

実際に今すぐに1000円もらえるのか、500円分の商品を購入すると2000円のポイントバックがあると宣伝をしても、多くの場合は、前者の1000円を得ようとします。これは、人間のリスク回避(損失をできるだけ回避したい!)という思いが強い証拠でもあります。しかし、個人的な経験では無料を利用する際には、セグメントがどこになるのかをしっかりと把握する必要があります。

例えば、失敗した事例としてカウンセリング会社の初回無料相談です。「無料だからカウンセリングを受ける」だけであり、「有料なら受けたくない」という割合がとても多かったです。弊社データーでは、9割以上が無料だからという理由でサービスを申し込んでいました。

営業に強い人がいれば別ですが、そうではない場合は無料よりも最低限の金額はとった方がおすすめだったと反省をしました。このように、無料=パワーワードではありますが、貧富の格差が広がっている2021年現在では無料を利用する際は、最終的な消費者を誰にしたいのか?世帯年収はどこにしたいのか?を見極めることが必要です。

中間層以上に対して食品の販売はサンプル配布をしたい場合→少しリッチな人たちがくる店舗や広告で年収を設定することをおすすめしています。年収が低い人たちをターゲットにする場合は、そのままの商品価格を提供する方が個人的にはおすすめです。(paypayなどのように最終目的が、企業間の手数料の場合は除く)

戦略に合わせた値段設定の方法

価格設定をする際に、最初の目的に合わせて値段を設定する方法があります。これは、マーケティングミックスの価格だけで見極めるのではなく、最初の段階のSWTO分析やブランド戦略、アカウンティングなどの様々な視点から見て決めることをおすすめしています。基本的には、2種類の考え方があります。

・スキミング・プライシング
高価格で設定をして早期の資金回収をする方法

・ベネストレーション・プライシング
一気に価格を下げて、素早く市場のシェアを狙う方法

どちらが良いのかは市場の成熟度合いや競合によるので注意が必要です。

儲けるところを明確にしよう

価格を設定する際に、どこで利益を出すのか、誰から利益をもらうのかをメリハリをつけることも、重要な価格戦略のひとつです。

・どこで利益を出すのか?
これは、利益率が良いところに焦点を当てます。例えば、飲食店(居酒屋)の場合はお酒をオーダーしてもらうことで利益を得る。スシローなら、サイドメニューで利益をとるなど、どの企業もどこで利益を得るのかを想定しながら値段を設定しています。

・誰から利益をもらうのか?
基本的には、企業の売り上げは上位20%の顧客が会社全体の利益を支えると言われています。他の80%は多少の利益が出る程度(赤字を防ぐ程度)とも言われています。実際の企業のデーターをみると多くの場合は、その傾向があります。企業でも誰に対して利益を出してもらいたいのかを明確にすることが必要です。

価格設定は慎重に

価格設定の戦略は、とても慎重に行う必要があります。実店舗の場合は、家賃や人件費、光熱費などを全て加味して価格を設定する必要性があります。しかし、価格を高く設定したことにより、出店した地域のセグメントと一致していなければ運営は赤字になります。

そのため、なんとなく..で決めるのではなく、自社のブランドイメージ、競合、運営をするために必要な最低限のラインなども考慮しながら値段を決めていくことが大切です。次回は、ブランド戦略についてお伝えをします。

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