一人社長の健康診断を考えるときは、「会社として実施する法的義務」「自分の健康管理としての受診」「会社が費用を負担する場合の税務」を分けてください。一人という人数だけで、全ての扱いが同じになるわけではありません。
この記事では、確認する順番と相談先、受診前に準備することを整理します。費用を経費にできるかや、給与課税の扱いは、一人社長の健診費用に関する確認事項で別に扱います。
法的義務は、対象となる人の立場で確認する
厚生労働省の案内では、労働安全衛生法に基づき、事業者は労働者に対して健康診断を実施し、定期健康診断の対象は常時使用する労働者とされています。会社の代表者本人であることと、労働者として対象になることは同じではありません。
代表者だけの会社、従業員を雇う会社、役員と従業員の仕事を兼ねる人がいる会社などでは、確認すべき状況が変わります。「社長だから必ず対象」「一人だから全て義務がない」と一括りにせず、実態に応じて所管の労働基準監督署や労務の専門家に確認してください。
| 自分の状況 | 確認すること |
|---|---|
| 法人で代表者本人のみ | 本人の立場と、労働安全衛生法上の対象となる労働者の有無 |
| 従業員を雇っている | 従業員ごとの雇用・勤務状況と健診の対象・種類 |
| 役員と従業員の仕事を兼ねる人がいる | 肩書きだけでなく、権限や実際の働き方 |
| 個人事業として働いている | 法人の代表者と混同せず、本人と雇用する人を分けて確認 |
一般的な定期健診の案内だけでは、全ての働き方や業務に必要な健診を網羅できません。対象となる人、実施時期、特殊な業務の有無なども確認します。
本人の受診は、義務や税務の結論だけで決めない
法的な実施義務や会社の費用負担とは別に、受診の内容は年齢、既往歴、現在の体調などを踏まえて医療機関と相談します。健康診断、人間ドック、症状があって受ける診療は、目的や扱いが同じとは限りません。
体調の変化や症状がある場合は、次の健診日まで待つのではなく医療機関に相談してください。検査項目を増やせば必ず安心できる、経営の成果が上がる、といった判断もできません。何を確認するための検査かを、医療機関に尋ねます。
受診前に、三つの資料を用意する
- 以前の健診結果と、再検査等の案内。見つからない場合は、そのことを伝える。
- 現在の症状、通院・服薬、気になる変化のメモ。
- 加入している保険者や自治体からの健診・助成の案内。
対象となる健診や補助は、加入先や年齢などで条件が異なります。予約前に、対象、検査項目、自己負担、結果の説明、再検査の案内を確認してください。会社が費用を支払う予定なら、税務の確認は受診・精算前に行います。
会社負担の費用は、受診の必要性とは別に確認する
国税庁の人間ドックの質疑事例は、一定の事実関係を前提に、会社が負担する費用の給与課税の扱いを説明しています。これだけで、一人社長の全ての健診費用が会社の経費になる、非課税になる、と判断することはできません。
検査内容、金額、受診する人、社内の取扱い、支払・精算の方法などを顧問税理士に伝えてください。受診したこと、会社が払ったこと、税務上どう扱うかは、別々の確認です。
受診時間を確保するための、仕事の引き継ぎ
一人で事業を担う場合も、受診中の連絡をどう扱うかは準備できます。急ぎの連絡先、予定している返信時間、期限がある仕事の調整を確認しましょう。会社や契約上の権限が必要な判断まで、無条件に他人へ任せるわけではありません。
例えば、取引先への連絡時刻の調整、事務作業の準備、受診後に確認する仕事の整理などから始めます。健康情報を取引先へ詳しく伝える必要はなく、業務上必要な予定や連絡方法を共有します。
結果を受け取った後は、医療機関の案内を確認する
結果の見方や再検査・受診の必要性は、医療機関に確認します。健診で大きな異常を指摘されなかったことだけで、今ある不調を放置してよいと判断しないでください。結果を経営上の能力や仕事量の評価に置き換えるものでもありません。
よくある質問
一人会社なら、健康診断を受けなくてよいですか?
法的な対象の確認と、本人の健康管理は別です。会社の状況に応じた義務を確認し、本人の受診については医療機関に相談してください。
パーソナルドクター等のサービスを契約すべきですか?
契約前に、提供する医療機関や医師、検査・診療の内容、費用、緊急時の対応範囲を確認してください。健診の実施、結果の相談、継続的な診療のどこを担うサービスかも確認し、自分に必要な医療と照らして選びます。
最初は、立場・加入先・受診目的を確認する
義務、受診、費用を分けると、それぞれ誰に相談するかが明確になります。労務は所管窓口や専門家、医療は医療機関、税務は税理士等に、現在の状況を伝えて確認してください。









