人は皆、自分だけにしかない人生を歩んでおり、その意味では「孤独」に生きています。誰しもが「孤独」ではあるのですが、人は生きていく上で非常に多くの人と関わっています。学校の先生や友達、会社の上司や同僚、後輩、病院の先生、趣味を通じて知り合った友人など。
もともと「孤独」ではあるのですが、このような人たちと関わり合いを持ち、励まし合ったり、手を取り合ったり、家族になったりして人生を歩んでいるお陰で、あまり「孤独」は感じないことと思います。
しかし、人生は順調なときばかりではなく、人によっては、苦しいこと、悲しいことの方が多い場合もあります。そのような苦しい、悲しいときは、孤独感が増してしまうもの。
そして、多くの人があなたを取り巻いているにも関わらず、「自分は1人だ」と孤独を感じるときもあります。そう、このような状態が、まさに「経営者」の方に多いのです。多くの従業員に囲まれているにも関わらず、ときには孤独を感じることもあるでしょう。
では、このようなとき、どうしたら孤独は癒されるのでしょうか?
人によって孤独を癒す方法は違いますが、家族や仲間の存在によって孤独感から脱する人が多いのではないでしょうか。
1人で悩みの暗いトンネルに迷いこんで孤独を感じたとき、誰かが一緒に隣を歩いてくれたり、手を引っ張ってくれたりしたら、心強いですよね。
孤独に押し潰されそうになっても、「自分は1人じゃない。支えてくれる人たちがいる」と思えるだけで、気持ちが少し楽になるはず。
そのため、孤独を感じるときに助けとなるのは、多くの場合が「人」の存在なのです。もちろん、孤独を感じたときに癒しとなるのは「人」だけではありません。趣味や夢中になれること、動物、物など、癒しとなってくれる存在は十人十色。そのなかで、今回は「人による」癒しにスポットライトを当ててお話します。
①どのようなときに孤独を感じるのか?
会社は、大きく捉えれば1つのチームで仕事をしていますが、なかには誰とも関わることがなく、孤独を感じながら働いている人がいるかもしれません。また、同期の従業員がいない、上司や他の従業員は外回りに出てしまい、事務所で孤独を感じながら働いている方がいるかもしれません。
そのなかでも、特に経営者は孤独を感じやすい役職です。
どのようなときに経営者が孤独を感じやすいのか……、これを知ることで解決策のヒントになるので、ぜひ参考にしてみてください。
社内の人に、悩みを相談できない
経営者と従業員……立場は違っても、同じ環境下に身を置いているため、内容に違いはあっても、会社の現状や未来に対して何かしらの悩みを抱えています。
あなたの会社のことを全く知らない人が、あなたの悩みをしっかり理解しようとするのは、なかなか難しく、時間がかかります。しかし、同じ会社に勤務している従業員であれば、会社に関する知識をすでに持っていますし、状況も把握しています。そのような点で、従業員は相談相手にうってつけなのですが、そう簡単な話ではありません。
内容によっては、従業員に相談したがゆえに、「この会社、大丈夫かな」と心配されたり、逆に「今の経営者には任せておけない。自分が経営者の座を奪ってやる!」と野心を抱かせてしまったりする場合があるからです。
そのため、部下に悩みを相談するのはハードルが高く、ここが、多くの経営者の「孤独を感じてしまうポイント」となっているのです。
責任感が非常に強く、1人で何とかしようと考えてしまう
会社のトップであるため、会社に関わる事柄の決定を、誰かに託すわけにはいきません。何かの決裁を下すまでの道のりの中で、どれだけ優秀なアドバイザーや部下の手助けがあったとしても、最後の決定権を持っているのは経営者のみ。会社の運命を左右するような重大な事柄も、経営者が決定しなければいけないので、重圧は並大抵のものではありません。
会社経営が厳しくなったときに、時代の流れを読み、将来を見据えた上で、莫大な初期費用がかかる機械を購入し、それがフル活用されて大いに売り上げをアップしてくれるのであれば見事な決断!……となるのですが、そのようにうまくいくのは奇跡に近いこと。厳しい局面のなかで、どのような選択が正解なのか決して分からないまま決断しなければいけないので、ストレスは相当のもの。
さらに、抱えている従業員のこともありますので、慎重に慎重を重ねて決断しなければいけません。
そこで責任感の強い経営者は、
「会社や従業員の未来が明るくなるか、そうならないかは自分にかかっている。絶対に1人で考え抜いて決断する!」
と、自分を追い込んでしまうことがあります。
責任感が強いのは、大変良いことです。ただし、自分1人ですべてを抱えようとして精神的に追い込まれて潰れてしまっては元も子もありません。それならば、信頼できるメンターを見つけたり、相談できる経営者仲間、または経営に関する専門家に相談したりしてみてください。 「1人でやらなければいけない!」という思いが、いつしか「孤独」に変わってしまう前に、手を打ってほしいと思います。
②経営者が孤独を感じたとき、まずできることは?
孤独を感じる状況は色々あり、どのような状況であっても辛いという事実に甲乙はつけられませんが、会社の未来を思い、一緒に働いている人がいるにも関わらず組織のトップが孤独を感じるのは、やはり相当つらいことです。
その孤独のつらさを軽減するには、「自分の心を癒やす」ことが大切です。
多忙であるために、自分の心をなおざりにする経営者の方が多くいますが、孤独を感じるということは、心がひとりぼっちで寂しがっている状態。それなのに、癒やすことをせずに頑張り続ければ心はいつか悲鳴をあげて潰れてしまいます。
そうなる前に、孤独を感じたら必ず自分の心を癒やすよう、意識してください。
ただし、孤独を感じたときに、一度考えてみてほしいことがあります。もしかしたら、「孤独」という思いが軽減するかもしれません。少し軽減するだけでも、心の苦しさは変わってくるはずです。
その孤独、思い込みではありませんか?
周りの人たちから距離を置かれ、孤独を感じてしまう……それは、とてもつらいことです。
しかし、それは「思い込み」ではないか、一度考えてみてください。孤独を感じる経営者のなかには、「実は思い込みだった!」という事実を知って心が軽くなった方もいらっしゃいます。
なぜ、経営者が感じる孤独は思い込みの場合があるのでしょうか?
まず、孤独を感じる原因で最も多いのは、「部下や従業員との距離感」です。しかし、ある一定の距離感があるのは当然のこと。特に組織のトップともなれば、従業員は経営者に敬意を払い、それなりの距離を置きます。経営者との距離をグイグイ縮めようとする従業員であっても、節度を守って、ある程度の距離を保つものです。
この点に関して、「自分は従業員から距離を置かれている」と思い込んではいないでしょうか?
先に述べたように、従業員が経営者にある程度の距離を置くのは当然のこと。まずはそこを間違いなく理解してください。
その上で、次に自分が、相手から距離を置かれるような言動をしていないかを、客観的にチェックしてください。経営者自身が「こんな感じで従業員に接したら、距離が縮むだろう」と思い込んではいませんか?
実はその言動だと、相手は心を開くことができないかもしれません。もっと接し方への改善が必要かもしれないので、客観的に分析してみましょう。接し方が変われば、本音で従業員の方と話をすることができるようになるかもしれませんよ。
自分から壁を作っていませんか?
相手からの態度で孤独を感じることもあれば、無意識に自分が周囲の人に壁を作って孤独に陥っている場合もあります。意識して「一線を引こう」と思うのではなく、無意識だからこそ厄介です。その無意識が原因となって、あなたは孤独を感じて苦しんでいるのですから……。
これまでの経験のなかで、人との間に壁を作るきっかけとなりそうな出来事に、心当たりはありませんか?
たとえば、信頼していた人から裏切られた、など。これは誰でも腹立たしくて、悔しくて、悲しい気持ちになります。経営者として有能な従業員を採用して、活躍を大いに期待していたのに、会社のお金を使い込んでいた……などということがあったらショックですよね。
また、あなたが経営者になったことで、これまで非常に仲の良かった友人の接し方がある日突然、あからさまに変わった……という変化もショックを受けてしまう原因になります。
自由に大金を使えると勝手に思い込まれ、あなたの財力にしか興味を持ってもらえなくなったら、その友人とのつきあい方を考えなければいけなくなるからです。
これまで、「気の合う友人」という関係だったのに、経営者という立場や、「経営者=お金持ち」という勝手なイメージが、良好な関係性を崩す元凶になる可能性もあるのです。
こうしたことで、「他人に気を許す」ことが難しくなり、ついには人との間に壁を作ってしまうようになるのです。
ショックを受けたことで壁を作る、人と距離を縮めることに抵抗感を抱くようになるのは致し方のないことですが、その度合いが酷く、「誰も信じない。自分1人しか信じられない」となってしまっては、あなたがつらくなるばかりです。
人を信じて裏切られるのはつらいですが、「周りの人を誰1人として信じられない」という状況も、苦しいものです。
トラウマ級に人から裏切られ、「誰も信じない」と決意した方がいるかもしれません。
私たちは「また人を信じてみるのはいかがですか?」という言葉は安易に言えませんが、周りの人との間に壁を感じるようでしたら、あなた自身が高い壁を作っていないか確認してみてほしいと思います。
たとえば、本音をどのくらいの割合で他人に言うことができているか、考えてみてください。
この割合が少なければ少ないほど、壁は高いということです。
その割合を、ほんの少しでも多くしてみるだけで、壁を低くすることができます。
「少し、本音を多めに入れて話してみるか」と意識するだけでも、壁の高さを少し低くすることができます。そうなれば、今感じている「孤独」は少し和らぐはずです。
完全に心を解放せずとも、あなたが「心地よい」と感じる距離感を保ちながら人付き合いをしていくことができれば、孤独感に苛まれることはなくなるでしょう。
③孤独を癒やしてくれる「人」との接し方のポイント
先に述べた2点のチェック項目で、少しでも心の苦しさが軽減すれば良いのですが、そう簡単にいかないのが人の心というもの。
経営者が孤独を感じたときに必要となるのが、やはり「癒し」です。
誰もがストレスを感じるこの時代、癒しの時間がどれほど大切かは身を以て実感しているはず。
経営者が孤独を感じたとき、癒しの時間の過ごし方によっては逆にストレスが増加してしまうことがあるので要注意。そのようなことにならないよう、自分のタイプを見極め、それに合う癒しの時間を過ごすよう心がけましょう。
仕事のことは、他人に口を出されたくないタイプ
経営者であるがゆえに孤独を感じ、癒しの時間を求めて友人や知人と会っても、「仕事のことには触れてほしくない」と思う方もいるのではないでしょうか。
あなたと同じく経営者であれば良いのですが、会社の経営の経験のない人に何か言われるのは腑に落ちない……こんな思いを抱く方、いませんか?
このような場合は徹底的に他人とは仕事の話をしないようにするのがベスト。どこかで気が緩んでしまい、悩みを打ち明けても、「分かったように言わないでほしい!!」という思いを抱いてしまうかもしれません。こうなると、ストレスは増すばかり。相手も「親身に考えて言ったのに」と、悲しくなってしまいます。 お互いが不快になったり、悲しい思いになったりすることを避けるべく、「他人からのアドバイスや励ましは受け入れられない!」という方は、相手にそのことを伝えておくようにすると良いでしょう。
会話から仕事のヒントを得ようとするタイプ
人と仕事の話をすることが癒しとなる経営者の方は、ぜひ多種多様な方々と話をしてみてください。同業界で働く人のみならず、違業界で働く人と話をすることで、悩みが解決するかもしれません。また、仕事のアイディアが会話のなかから生まれるかもしれません。
相手が同じ業界で働いている人であれば、その業界ならではの楽しみや悩みを分かっている分、話は弾むでしょうし、苦しみは共感を得られることでしょう。似たような悩みや苦しみを乗り越えてきた経験話は、あなたのためになることと思います。
一方で、相談相手があなたの業界を知らないがゆえに、今まで考えたことのない解決方法が見つかる場合があります。
たとえば、知らずしらずのうちに、あなたの考えが凝り固まってしまっている場合。「Aの方法しかない」と思っていたのに、異業界で働く人があなたの悩みを聞き、「AではなくてBじゃダメなの?」と、聞いてきたとします。それまで「Aの方法しかない」と決めつけていたところ、新たな方法を知ったことで、悩みのトンネルから抜け出すことができるかもしれません。
また、ひょんな会話から新事業のアイディアや、仕事の回し方のヒントが見つかる可能性もあります。
このように、色々と可能性を秘めた人との会話が経営者の孤独を打開する癒しであるのならば、ぜひ同年代だけではなく、幅広い年代の人と話す機会を設けてみてください。年長者の経験談や、社会経験が少ない若者の素朴な疑問が、思いがけない場面であなたの助けになるかもしれないからです。
④経営者にとって、メンターは必要不可欠
経営者が孤独を感じたとき、「癒やし」となってくれる人が身近にいない場合は、経営関係のサポートを行っている専門家に心の扉を開くこともオススメです。「bizサポート」には、経営者として活躍した人や、現役の経営者が在籍しているので、あなたの悩みに寄り添って話を聞き、実績に基づくアドバイスをすることが可能です。
また、プロの心理カウンセラーも在籍していますので、「孤独感」からの脱出方法を伝授できます。どうか1人で思いつめずに、専門家を頼ってほしいと思います。
もう少し、自分の悩みと向き合って解決策を見出したい、という経営者の方は、「経営者 カウンセリングがおすすめな理由」の記事にも「経営者のお悩みを解決する方法3選」が記載されていますので、ぜひご参考にしてください。
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